2006年06月28日

[ワンダフル食堂の人びと〜番外編〜老犬ちびの長い日]第1話/ひび

ワンダフル食堂の脇に、大きな犬小屋がある。
大造爺ちゃんの手造りである、犬小屋の主、ちび。
  

「この子、何処から来たのかしら? こんなに汚れちゃってるけど」
「名前は、ちび。小っちゃいからね。」

ちびの第一発見者は、10年前に亡くなった。大造の妻、多恵である。
多恵は、野辺山銀座商店街の唯一の産婆だった。
良男と小百合の長男、大介が生まれた直後で、大造と多恵にとって大介は初孫であった。
        
今から、20年前の1月10日にちびは産まれた。犬種は、ゴールデンレトリバー。

「シェリー、頑張って。僕が付いてるよ」
声をかけてるのは、久本茂。当時5才。
シェリーとは、ちびの母犬である。
「クーン・・・」
「シェリー、深呼吸して」
「ママ、シェリーが苦しそうだよ」
「しげちゃん、大丈夫よ。もうすぐ産まれるのよ」
「もうすぐだね、ママ。産まれた子は、僕が面倒みるからね」
「そうね、しげちゃん一緒に育てようね」

1986年1月10日の1時過ぎに、子犬達は次々に誕生した。
ちびは、3番目に産まれた。
全部で、4匹。男女男男。安産だった。
「シェリー、よくやった」
「しげちゃん後はママがみてあげるから、今日はもう寝なさい」
「もう少し、この子達と一緒にいる」
     

「もう、おしまいだ。雅恵すまん」久本茂文。茂の父である。

久本茂文は、久本建設の社長。バブル景気に乗じて先物取り引きに手を出し、好景気の時期もあったが、あっという間に倒産してしまった。


ちび達は、産まれて2週間で捨てられてしまった。
債権者達は、こぞって金目になる物をさがした。母犬シェリーとちびの兄弟達は売られてしまった。
が、ちびは、生まれつき、尻尾が無く。売られる事は無かった。
         
「ちっちゃくて、可愛い犬ね」
「チイかま食べる」
「パン、あげる」
それから、ちびの一人旅が始まったのである。

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